Japanese
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連載 リズムとからだ 「うまくいく」と「うまくいかない」の謎・9
吃音スイッチ
伊藤 亜紗
1
1東京工業大学リベラルアーツ研究教育院
pp.1038-1041
発行日 2017年12月25日
Published Date 2017/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200888
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人間にとって「話す」とは,まぎれもなく発声器官を用いた身体の運動です。しかしそれは同時に,社会的な行為でもあります。社会的な行為であるとはつまり,他者との関係を左右する,意味を帯びた行為であるということ。ちょっとした言葉の選び方や表情のつくり方が,場の雰囲気を変えたり,人間関係を左右しうることは,今さら説明するまでもないでしょう。
それは別の言い方をすれば,私たちの「話す」は,常に他者の期待のうえになされる行為だ,ということです。独り言であれば,他者からの期待が一切ない,いわばまっさらな状態で,私たちは話すことができます(そして多くの吃音当事者が,独り言ではどもりません)。しかし,通常の会話ではそうはいきません。相手が「どうぞ」と言ってお茶を置いてくれたなら,私にはお礼を言うことが期待されているし,相手が真剣な顔で相談をしてきたら,それに真剣に応えることが期待されています。

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